TOYOTA YUI Project

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そんじょそこらの
シートじゃないんです。

シート設計リーダー

宗近 純一

宗近 純一

いつだってFUN TO DRIVEなんです

LQには五感フィードバックというコンセプトがありますが、五感のうち触覚に関してはシートを使います。覚醒リラックスシートというのを作りました。シート内の空気の袋をブオーっと大きく膨らませて、背伸びをさせられるような機構を取り入れています。LQには乗っている人の表情や動作を認識するカメラが付いてまして、それで乗員が眠そうだと判定したら、覚醒リラックスシートを起動させます。クルマが自動運転になった時、ドライバーはクルマを操作しなくても良くなりますよね。そんな時、寝るんじゃなくて楽しんでほしいという想いがある。寝て起きたら到着というのは、新幹線や電車では良いかもしれない。でもクルマの場合は、やっぱりFUN TO DRIVEを大切にしてほしいんです。もちろん安全性のためでもあります。

イライラすると、人は呼吸が早くなります

LQのシートの機能として、眠いときの覚醒方向だけではなく、リラックス方向というのもあります。クルマが自動運転になっても、渋滞の時はイライラしたりしますよね。そういう時は、呼吸が早くなります。カメラがイライラを検知すると、シートの中に入っている空気の袋が鏡餅みたいに二段に膨らみます。これで横隔膜の後ろをグーッと押してやると、お腹が出て、半強制的に腹式呼吸を促していく。動かすピッチをゆっくりにしていって、それに引っ張られて呼吸も落ち着いていくんです。すると常に、リラックスした状態で車に乗っていただけるわけです。覚醒とリラックス、その両方をシートで実現しています。

わかってもらえないと思うんですが

クルマのシートの中には、シート空調というものが入っています。腰を置くクッション側と背中を置くシートバック側、それぞれにブロアが入っていて、そこからエアコンの冷たい風を吹き込んで、座っている人に冷たい刺激を与えます。LQはドライバーを覚醒させるために、このシート空調とシートを膨らませるのとを、合わせ技で使うんです。空調のためにクルマのシートには細かい穴がたくさん開いているのですが、通常のクルマだと均一の大きさの穴。でもLQは、パーフォレーションデザインっていうんですけど、穴の大きさがバラバラなんです。通常だと穴のサイズは一種類で、直径1.2 mm くらい。LQは4種類ほどのサイズの穴を採用しています。デザインと協力しながら、穴の配置と穴のサイズを細かく細かく決めていきました。意匠と機能を両立させたシートなんです。

“これはただの意匠です”と言えるものは、なかなか世に出せないんですけど

LQのフロントシートの後ろには、バックボードというかなり大きなパーツが付いています。透明な、羽のようなパーツです。通常だとフロンシートの後ろには、物を入れるためのポケットが付いていると思うのですが、そういったものは一切なく、羽が付いているんです。だから後ろの人が座ると、膝のすぐ前にこの羽が来ちゃうんですよ。膝前のスペースが減ってしまう。シートをできるだけ薄くしたいのに対して、完全に逆行しているわけです。それで、できるだけ羽が付いているベースの方を薄く薄く作り上げて、この羽を付けても通常の膝前のスペースを確保できるようにしてます。かなり苦労しました。この羽が何のために付いているのかというと、見た目のためです。かっこいいだろってことです。