TOYOTA YUI Project

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もうLQを
コンセプトカーとは
呼びたくない。

車体設計リーダー

本橋 潤平

本橋 潤平

窓なんか開かなくていい、ってわけにはいかないんですねこれが

LQの外形デザインで一番こだわったのが、フロントドアを透明にしている部分。ドアのガラス部分がボデーに繋がっていて、外側から内側に入ってくような意匠です。他の車と全く違う。当然、課題はかなりたくさんありました。例えば、ここまでガラスにしてしまうと窓が開かないという問題がある。それで、小窓みたいなものをつけた。手を出して駐車券とかのチケットが取れないといけないですから。普通のコンセプトカーは、正直言って走らなくてもいいし、小窓もいらない。でもLQは実際に使用する前提で作ってますから。人が実際に運転できて、しかも快適に過ごせなきゃいけない。もはやLQはコンセプトカーではないです。

この「つるっと感」を絶対に守りたい

LQにはアウトサイドハンドルが付いていて、これを引っ張ってドアを開けます。普通のクルマだとノブタイプなんですが、LQはタッチして開けるみたいなイメージでやりました。タッチして開けるってところまでは、ちょっと悔しいですけど、実装することはできなかった。でもノブが飛び出していると、LQのこのつるっとした感じが失われてしまう。つるっと感をどうしても出したかった。そこで、どうにかして平らな面にハンドル埋め込むことができないかということで、ゼロから開発したわけです。パッと見た時のつるっとした印象を守るために。

喧嘩して、泣きました

外形の設計をする上で、今回はこういう意匠ですからデザインの人たちとのやり取りがかなり濃密だった。僕ら設計からデザインに提案もしたし、向こうにも絶対にこうしたいというのがあって。そうしたデザインの想いに応えたい気持ちもあったけど、設計として譲れない部分もある。だから、かなりぶつかりました。週に1回、デザインと設計で打ち合わせをするんですが、1時間で終わるはずが2時間、3時間と伸びまくって毎回紛糾。喧嘩みたいにもなってしまって、険悪だった時もあった。でも結果的にすごく良いものができて。最後の打ち上げで、デザインの皆さんがサプライズで、僕らのグループ名が書いてあるクルマをスケッチで書いてプレゼントしてくれたんですよ。その時ちょっと僕、涙出てきちゃって。やっぱりやってきてよかったなって思った。僕の一番のプロジェクトの思い出ですね。

結局、必要なのは情熱とアイデア

こうしたデザインとの関係性で僕はすごく成長したなと思ってます。エンジニアって結局自分のやりたいことをやりたい。なので、そこを否定的な意見とか言われちゃうと、なんかデザインよりも僕らの技術の方がすごいみたいな話で打ち消したりとか。通すためにデザイン犠牲に、みたいな話をしてしまう時があるんです。ただこういうクルマが出来上がったの振り返ると、お客さんってまず外見から入ります、クルマを見る時は。その一番大事な部分に対してもうちょっとこだわりをもってやらなきゃいけないなと。情熱とアイデアがあれば達成できるんだなっていう。このプロジェクトで学んだ最大の事です。

未来の作り方で、LQを作った

LQは作り方それ自体も工夫をしています。少量生産の場合、いろんな樹脂もの、たとえば外板パネルとかを型で作ってしまうとすごく値段が高いんですね。ですので今回は安価に作れるカーボンを使ってます。材質から考えていったわけです。それから、3 D プリンターの有効活用。型を使用せず、3 D プリンターを使ってパーツを仕上げていきました。このやり方は未来のクルマ作りに対しての試金石にもなった。クルマはやがて、各個人で部品をカスタマイズできるようになるはず。僕はこれがいい、僕はこっちの形がいい、というように。そんな時に、今回のように3 D プリンターで作っていくと思うんですよね。だから作り方に関しても、未来のプロジェクトに向けて提案できたなと思ってます。